「彗星と私達の意外な関係 〜彗星の魅力にせまる」 |  |
講演者: 室井 恭子 国立天文台天文情報公開センター 広報普及員
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彗星のごとく現れて…の例えにもされている彗星。昔から個性ある姿で私達を驚かせ楽しませてくれました。そんな彗星は、皆さんも知っているあるできごとや私達自身と深い関係があります。それは一体どんなことでしょう?
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| 彗星とはどのような天体か |  |
2004年前半は肉眼光度が期待された2つの彗星に注目が集まりました。古来より様々な伝承を生んできた彗星の正体は、氷と塵の塊です。太陽に接近して核が融け始めるとコマや尾が形成されます。
彗星の作り方(レシピ) |
- 揮発成分
- 水(H2O) →全体の80%以上
- 一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、アンモニア(NH3)、メタン(CH4)、メタノール(CH3OH)等
- 不揮発成分
- シリケイト(珪酸塩)の塵粒 →大きさ0.1μm〜数cm
シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、ナトリウム(Na)、等が含まれる
重さとしては、揮発性の氷と、不揮発性の塵は同じ程度
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このような組成から"汚れた雪玉"とも呼ばれる彗星核は脆く、リニア彗星(C/1999 S4)は、観測中に核が崩壊し消滅してしまいました。
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| 変化する核近傍の様子 〜彗星の自転 |  |
彗星の核近傍を拡大して時間を追って観察してみると、コマから伸びるダストの広がりに変化があることが分かります。ある時は、スパイク的な形状をしたジェットが放射状に広がっていますが、別の時には核を囲んで同心円のシェル状の構造に見えることがあります。
この変化は、自転する彗星核と観察者の位置関係で見かけ上起きるものです。
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彗星のコマからのガス蒸発は、塵で覆われた表面のスポット的な場所で起こり、ガスやダストは細いジェットとなって放出されます。彗星が自転しているため、ジェットは歳差を受けてヘリカルに飛び、コーン状に広がっていきます。
彗星の自転軸が視線方向と垂直に近い時、私たちはコーンを側面方向から見ることになり、光学的に厚い母線周辺のダストが放射状に見えることになります。一方自転軸が視線方向に近い時は、コーンを頂点から見ることになり、円周方向のダストが同心円状に見えるのです。
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| 彗星と私達の関係 〜人類の進化は彗星の恩恵? |  |
地球上で生きる私たちと彗星の間には重要な関係があります。哺乳動物の進化の契機となった大量絶滅を引き起こしたのが隕石の地球衝突であった可能性が研究されているように、天体の衝突が地球の環境を大きく変化させるのです。
海を持つ地球に水を大量に運ぶのに、彗星のような氷の微惑星が沢山衝突したことが寄与したかもしれません。また近年アミノ酸を含む隕石が発見されたように、生命の起源物質を地球にもたらしたのも彗星のような天体かもしれないのです。こうした天体衝突は、今でも稀に起こります。
1994年にシューメーカー・レビー第9彗星が木星に衝突したのが観測されました。微惑星が密集していた太陽系形成期には、このような衝突が盛んに起きていたと考えられます。
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| 彗星と私達の関係 〜彗星は太陽系の化石 |  |
彗星の起源はエッジワース・カイパー・ベルトや更に遠方のオールトの雲のような太陽系の外縁部であると考えられています。原始太陽系星雲の中でも外側にあった微惑星はその後の変成を余り受けず、太陽系の太古の環境を知る手がかりになる"太陽系の化石"と言えます。
リニア彗星(C/2002 T7)で観測された非晶質の水氷は、彗星がマイナス150度以下の環境で作られたことを示唆しています。彗星の研究は太陽系形成の歴史を知る上でも重要な意味を持つのです。
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| 講演者紹介 |  |
| 室井 恭子 (むろい きょうこ) |
| 所属: | 国立天文台天文情報公開センター 広報普及員 東京学芸大学大学院修士課程修了 |
| 研究分野: | 太陽系天文学 "彗星・小天体の観測" 彗星核の構造やジェットの放出過程、自転進化など、太陽系外縁部天体について観測的な研究を行う。 |
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